自身にとってコロナ禍に突入して以降、約1年ぶりに出演する舞台。
中野ぽけっとでの公演は、客席数を減らしているとはいえ連日満席、全日完売という大変ありがたい状況で、一人の体調不良者も出ることなく幕をおろすことができました。
舞台「白い星」
大きなくくりで言えば本作はハッピーエンドであり、観劇したお客様から寄せられた感想の多くは「最後は幸せな気持ちになれた」「今の時期に見られてよかった」たくさんのありがたいお声をいただいた。
しかし、ベースとなった題材は「被害者遺族」。その苦しみがどのシーンでも虎視淡々とまとわりつく。
被害者遺族がもつ苦しみ、2000年当時の法制度。
未解決事件。
演出の相馬あこさんが、稽古開始真っ先に我々キャストに課したのは
それらを徹底的に調べ、各自で考えることだった。
結果として、私が演じる野村麻衣が辿る道はまた別のところにある。
未解決事件ではなく、犯人が逮捕された場合。
作中では一瞬のシーンだけれども。
喫茶店で何気ない会話で紡がれる本作品を上演する上で欠かせなかったのは
やはり皆の、”見えない部分”の、心の根底に作ったものだったと思う。
100点!un・チョイスという団体
私は、100点!un・チョイスさんとは今回が初めての出会いである。
今までの100チョイさんの作品は、
我々もよく知る2.5系の俳優やアイドル出身の方がよく出演なさっているイメージだ。
だが今回はそれぞれ相馬さんのワークショップやオーディションに参加してきたメンバー。
”純粋”が集まって固まったようなメンバーだった。
稽古中は、あこさんの叱咤も飛び交い、皆苦戦し、日々努力した。
演出の相馬あこさん。花奈の本質とは真逆のパワフルで明るくて憧れの女性だ。
でもあこさんは、いつも「(笑)」を忘れない。
「朝一番にきて発声しろよ〜〜〜(笑)何分やったの?言って(笑)」
「はい、今日の○○の芝居は0点です(笑)」
「もう家泊めて一晩中稽古させるぞ(笑)」
どんなに役者ができなくても、
役者に嫌悪感を出したり、諦めることをしない。
「努力をするなら、一生付き合う。」
めちゃくちゃ厳しいことも言うけど、役者全員を愛する人だ。
私は、初めてのあこさんだったから
あこさんの求める芝居ができないこともたっくさんあったし
花奈澪だったらそれはチョイスしない野村麻衣像をあこさんが
劇場に入ってからも日々微細なところまで調整し、具現化してくれた。
自分が感情のまま素直にやるとそうなってしまうことを
客観的に見た理想に近づける作業。
自分のクセを変える作業というのは一番難しくて、たくさん苦戦した。
でも、やってよかったなと思う。
あこさんと、またご一緒したいし
その前に早く酒を飲み交わしたいですね!!!笑
現代会話劇の難しさ
本作の舞台セット、喫茶「雪月花」。看板や路地が好き。
なみおとしては、永らく原作のある2.5次元的作品やコメディ作品、または時代劇が多かった。
なみおさんのストレート芝居が見れて嬉しい、とのお声もたくさん頂いた。
また今回は、作業をしながらの芝居(ほとんどの方はお気づきではないかもしれないが、喫茶雪月花の店員は皆、実際にコーヒーやお水、カフェオレ、ココアを入れている。
舞台用語で言うなら、実際に消えものを使って芝居している。つまり、コーヒーを入れたり、洗ってきたグラスをふき、整理しながら全ての芝居をしているのだ。
何かをしながら会話をすることは、
日常生活ではあたりまえにしていることでも
舞台上で行うとなるとまた難しい。
脚本上で決まったやりとりのうちに終えなくてはいけないし、
「この3行のセリフの間にコーヒーを入れて、このセリフを言いながら砂糖とミルクとスプーンを置く。」
など全てがシビアに、稽古するうちにベストの手が決まってくる。
でも舞台は生物だから、ミスも起きるしハプニングも起きる。
もはや脳トレである。
何気ない会話を舞台上で交わすにはとてつもない脳みその回転と反射神経が必要で、さらにそこに感情を運ばなくてはいけない。
だからこそエピローグとか。何気ない日常の会話が、まるでそこに皆が生きているかのごとくピタッとはまった時の空気感は、他では感じられない多幸感で満ちていました。
演劇の、劇場のよさってやっぱりここなんだろうなぁ。
とかなんとかダラダラ書いてますけど
本当に楽しかったです!
回想シーンの衣装(知っているか?あそこ19歳なんだぞみんな)
個人としてはクローズドコミュニティを立ち上げてから初めての舞台作品だったこともあり
皆がお揃いのグッズ(VIPPERパーカー)をきて観劇してくれたり、観劇者のみで集まるネタバレ感想ちゃんねるで、皆と語り明かしたり。
まさに今回の作品は感想戦が盛り上がる作品でしたので、みんなの細かい感想を見るのが楽しかったです笑。みんな
本当にみんな、大変な中、見にきてくれてありがとう。
コロナ以降、初めての舞台を、この作品を選んでよかったなあー。
と心から思います。
修斗、麻衣、拓弥
修斗役、主演の吉田翔吾さんは本当に素敵な方で、
この作品を疾走する突き抜けるパワーと大きな愛情で座組を優しく包んでくれました。
またいつか共演できたら嬉しいな!
泣いてる姿も、満面の笑顔も、ずっと目に焼きついて残ってる。
阿瀬川さんはじめとする大学生メンバーも本当に愛おしくて。
みんながみんな、「ああいう人居るよね笑」なのが結局最高なんだ。
幼なじみの拓弥とは、仲良しシーンも、苦しいシーンも。その場の気分でやりとりできる相手で楽しかったです。
楽屋での棒田ハーレムショット
なみおファンNo.1人気の棒田さんは私も大好き(笑)
彼とのラストシーンは本当に素敵です。
棒田を演じる中尾太一さんが本当に憎めない愛おしい最高の人で。毎公演律儀に、楽屋にも挨拶にきてくれる素敵な人。
カウンターの相棒、朋ちゃんはどちらも癖が強くて。
でもカウンター内では阿吽の呼吸。光の速さで片付けとコーヒー作りができました笑。
麻衣としては、作品ラスト15分くらいが本当に怒涛の展開で、感情も時間経過もジェットコースターすぎて。
ものすごかったですね。なんじゃありゃ笑。でも終わる時には、毎度信じられなくらい幸せな気持ちになれました。
陸の苦悩も、雄大くんの心も。
みんなと笑い合う日常の愛おしさも。
それぞれの正義もそれぞれのエゴも。
愛も。
この世は、目に見えるものより目に見えないものの方がたくさんあるんだ。
お手軽な娯楽、SNSに飛び交う言葉、わかりやすいもの。そんな物も好きだけど。
何ヶ月も前から準備して1ヶ月かけて稽古して。
でも、たった8回で終わっちゃう。
そんなコスパの悪い「演劇」ってものがやっぱり大好きだなーと思いました。
演劇には演劇にしかない魅力があるんだ。
それは、目に見えない物がたくさん詰まった『空気』を皆さんと一緒に吸えるから。
コロナ以降、自分もたくさんいろんなことを見つめ直してきましたが
今回もたっくさんの気づきがありました。
座組全員愛してる。笑。
みーんな、素敵でした。
素敵な人たちに出逢えたら、
また頑張って生きていこうと思えるよね。
作品のせいもあるのかな。
「一人ひとりの幸せを願う」気持ちって、なかなかなれるものじゃないと思う。
100点!un・チョイスさんも。出演者一人ひとりも。
もちろんスタッフさんも。
みーんな素敵な人生を歩んで欲しい。
なんか、全員幸せに生きていきたい。
集合写真。オープニングの一瞬、最奥にしか登場しない幻のタイトル。
いつかまた、みんなで。
雪月花のブレンドとたまごサンドと。
つるたの味噌汁と。
拓弥のおばさんの漬物と。
白い星を探しにいきたいですね。
配信も決定したそうなので、
またぜひ配信でも見て欲しいな・・・!
これはツイキャスでも言ったけど、
もっともっと、見にきてくれる人が少ないんじゃないかって思ってたんです。
社会的には緊急事態宣言中だし。
まだまだ厳しい世の中だし、ストレートな舞台に出る機会も多くなかったし。
でも本当に、連日完売で補助席が出るほど
たくさんたくさん足を運んでくださって
シンプルに、心から嬉しかったです。
応援本当にありがとうございました。
これからも、頑張ります!
2021.2.15 花奈澪
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